アムステルダムの旅
オランダの首都アムステルダムへ行ってきました(政治的機能はデン・ハーグ)。
まずは運河クルーズ。船長さん、いかにもオランダの屈強な「海の男」。
オランダ人は海を埋め立て、土地を造り出して国家を建設しました。
アムステルダムの土地にクイを何本も打ち込み、その上に家々を作ったのです。
長年のうちにクイが乱れると、このように家が歪む↓
しだいに、「海の男」たちは、帝国主義的に膨張していきます。
長崎の「出島」で蘭学をもたらしたのも、オランダ帝国主義の一環でした。
オランダ東インド会社のデルフト焼(所蔵はアムステルダム博物館)↓
国立ミュージアム(RijksMuseum)では、こうしたオランダの歴史を芸術作品とともに知ることができます(「出島」の模型や歴代カピタンの名前を彫った銅版がありました)。もちろん、レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』などの名作も堪能できます。
1930年代にはナチズムの嵐が吹き荒れます。
アンネ・フランクの家は大行列ができていました(入館の際にはオンライン予約すべき)。
アンネの隠れていた回転式本棚の向こうの空間はそのままに残されています(日記や手紙なども展示)。
凄惨な歴史の地に、多くの若者が来ているのは頼もしいことです。
アムステルダムという都市は「自由」を重んじているらしく、市立博物館にはこういうものも展示。
コーヒーショップ(コーヒー以上のものがでてくる)に、「吸引器」を並べたウインドー。
徹底した個人主義と自己責任の風土でしょうか。
ファッションウインドーなどはあまりみられず、街の女性はオシャレでもないし、外食を楽しむ老夫婦も少ない。
やや殺伐とした大都市という印象でした。
イメージとしての「日本」
スーパーで売っているいわゆる温州みかん。
ラベルを見ると「Satsuma」とあります。
サツマミカンというのも変なのだが。
スーパーには「Surimi」とか「Tataki」というのも売っています。
また寿司のコーナーもあって、とても高価(1パック8個くらい入っていて12ユーロほど)。
日本のモノというのは、高級感があって人気があるらしい。
語学学校でも、
日本ってどんなイメージなの?と訊くと、
「日本はとても発展していて、清潔で品がよくて…」(モロッコ人女性。彼女は「日本のことをもっと聞かせて!」と)
「とにかく、世界のトップなのよ」(ベルギー人女性)
とお褒めの言葉が続きます(まあ、悪いことはいわないかも?)。
ルーヴァン大学ではまさに「日本」に憧れ、「日本」を学ぶ学生が多くいまして。
彼らにとってはアニメ、漫画、ハイテク、クールな最先端の国。
若者に人気の(?)古着店では『Tokyo Recipi』という本がディスプレイされていました。
中身は「ふろふき大根」とか書いてあって、あまりカッコよくないと思ったが…。
ともかく、トーキョーは一時期のパリやらNYと同じくらい価値がある。
このお店は↑とは関係ないです。
日本ではとかく、
ヨーロッパのモノ、コトが日本よりも「よい」と思ってしまうがちな風潮があるかもしれませんが
(たしかにじっさいに「よい」ようにみえる面もありますが)、
他者からみれば、またべつの「よい」の基準がありうるわけです。
ルーヴァンのエラスムス↓
ダブリンの旅
ダブリンの大学にして最大の観光名所の一つ、トリニティカレッジへ。
図書館(Old Library)にはケルズの書という古い書物(福音書、9世紀初めに修道士によって作製)があります。
実際には2冊のケルズの書が展示されていましたが、そのほかにも本の作成方法、文字列の誤りの修正方法など興味深く展示。
↓ガイドブック
図書館にはLong Room という部屋(長さ65メートル、蔵書200,000冊)があり、左右には胸像のコレクションが。
アイルランドの象徴であるハープ(15世紀頃)も展示されています。
ジョナサン・スウィフトが司祭を務めた、聖パトリック大聖堂。
スウィフト説教壇と墓、ほかにもスウィフト関連の展示があります。
ステンドグラスが素晴らしいです。
リフィー川(River Liffey)に架かるハーフ・ペニーブリッジ
ギネスストアハウスへ。ギネスビール(250年前にアイルランドで誕生)のテーマパークです。
ここではギネスビールの工程、テイスティング(のやり方)や淹れ方を教えてもらえます。
自分で注いだギネスビール↓(この1杯は無料プレゼント)
カフェやレストランもあって、なかなか楽しめます。
ストアハウスは、1人20ユーロとお高めの価格設定なのですが、お客さんはどんどん入ってきていました。
ギフトショップでも「ギネスグッズ」が購入でき、ファンには堪らないのでしょうか(やや微妙)。かなりの商売上手のようです。
ダブリンの旅
旅の目的であるアイルランド共和国議会(Leinster House)を見学(ガイドツアー)。
内部の撮影は禁止。ブルーの絨毯にU字型の議席(イギリススタイルではない)でした。
ダブリン城へ移動します。ダブリンの中心部はとても洒落ていて、
カラフルな色使いが特徴的。
ドアもカラフルに塗り分けています。
ダブリン城は英国によるアイルランド植民地支配の拠点として使用されました。
現在は、大統領就任式などの国事行事に使用されています。
ダブリン城の一室は「ジェイムズ・コノリーの間」とされ、イースター蜂起(1916)の一員であったジェイムズ・コノリー(銃殺刑)に捧げられていました。
イースター蜂起は、フランス革命でいうバスティーユ襲撃のように扱われていました。
しかし、アイルランドとフランスの事情は異なるようで、ギフトショップでは今でも「1916年アイルランド独立宣言」のTシャツやグッズが販売されています。
アイルランド独立宣言↓
ここダブリンでは新たなナショナル・ヒストリーが描き直されているようです。
ダブリンの旅
エメラルドグリーンの島といわれるアイルランド共和国へ行ってきました。
シンボルカラーのグリーンの航空機、Aer Lingusでの空の旅。
尾翼の三つ葉のクローバーもアイルランドのシンボルです。
ダブリン空港やダブリン市内を走る2階建てバスもグリーン。
気候は温暖、湿潤で芝のグリーンがとても美しい。
寒さの厳しいベルギーからすると過ごしやすかったです。
名門トリニティカレッジの芝生
空港も街も清潔感があり、モダンです。ロンドンに似ている感じ。
司馬遼太郎の『愛蘭土紀行』で文豪の国、アイルランドをちょっと予習しておきました。
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ジョナサン・スウィフト↓ やジェイムズ・ジョイスもアイルランド出身作家です。
アントワープの旅
アントワープの旅の最後はプランタン・モレトゥス博物館。
どういうものかというと、活版印刷所の博物館で、世界遺産に指定されています。
1605年、ヨーロッパ初の活版印刷の新聞がここで発行されました。
当時の仕事場、印刷機、活字などが保存されています。
多くの貴重な資料を目にしたのですが、
そこにはグーテンベルク活版印刷の聖書(第二版)、史上初のオランダ語文法書、フランドルの学校で使われていた教科書(すでに何か国語かで併記されている)などがありました。
また、精密な人体解剖図や植物画、医学書などもあり、「蘭学」の始まりを感じさせます。
トマス・モアの『ユートピア』が500年前にルーヴァンで出版されましたが、この出版に一役買っていたのは、人文主義者エラスムスとアントワープの商人Peter Gillisでした。
15世紀に商業・金融都市となった港町アントワープは、こうして初期近代を用意したのです。